倉庫の賃貸借契約は、一枚に収まる理由で締結されます。平方メートルあたりの賃料、恩典、誰かが見に行った日の敷地の様子、そして港までの距離。距離はたいてい地図上のキロメートルです。
そのあと建物は十年動きます。その十年の毎年、契約が決めた経路をトラックの一団が走ります。その部分に署名した人はいません。それは毎月、運賃の請求書という形で届き、そのときには判断はもう建物になっています。
署名の前に知っておくと役に立つのは、契約書に載っている金額が、いま選んでいる数字のなかで最も小さいということです。
立地は四つの費用を決め、賃料はその中で最も軽い
立地が動くと四つの費用が動きます。入荷側の輸送、出荷側の輸送、建物そのもの、そして中の在庫に寝ている資金です。
全国規模ではこれらが測られています。2024年のタイの物流費用は25,094億バーツ、GDP比13.5パーセントで、2023年の14.2パーセントから低下しました。その内訳は次のとおりです。
| 構成要素 | 2024年、億バーツ | 物流費用に占める割合 |
|---|---|---|
| 輸送費用 | 12,006 | 47.9パーセント |
| 在庫保有費用 | 11,221 | 44.7パーセント |
| うち在庫保有に係る費用 | 9,137 | 36.4パーセント |
| うち 保管費用 | 2,084 | 8.3パーセント |
| 管理費用 | 1,867 | 7.4パーセント |
保管費用は、この表で最も小さい実額です。建物の中にある在庫は建物そのものの約4.5倍の費用を国全体に生じさせ、貨物を動かすことは6倍近い費用を生じさせています。
これは自社ではなく全国の姿であり、自社の比率は当然異なります。しかしこの形は多くの企業に当てはまり、ここで重要なのはその形です。平方メートルあたりの賃料で選ばれた立地は、その判断が左右する四つの数字のうち、最も小さいものを最適化した判断です。
真ん中の行に注意を払うべき理由がもう一つあります。在庫を持つ費用の大半は在庫に寝ている資金の費用であり、この数字が対象とする年、資金は安くありませんでした。最優遇貸出金利は2024年に平均7.1パーセントで、2023年の6.8パーセントから上昇しています。立地の判断が在庫水準に対してしたことは、すべてこの率で掛け算されます。
二つの輸送区間は逆向きに動く
入荷と出荷は別の商品であり、立地の変更がそれぞれに与える影響も別です。
入荷は幹線輸送とも呼ばれ、量でまとまっています。港や工場や仕入先から満載で、少ない便数で到着します。
出荷は配送です。積み合わせで、降ろす箇所が多く、大型車よりも小型車の出番が多くなります。
倉庫を顧客側へ寄せれば出荷距離は減り入荷距離は増えます。港側へ寄せれば逆になります。だから両者が釣り合う中間点があるはずだ、という結論になりがちで、それはおおむね正しいのですが理由が誤っています。二つの区間は同じようには反応しないからです。
その理由は覚えておく価値があります。配送距離は二つに分かれます。
- 地区までの往復距離。配送地区まで出て行き、戻ってくる部分
- 地区内の距離。配送地区に入ってから、顧客から顧客へ移動する部分
建物を動かして変わるのは前者だけです。 地区内の距離は顧客どうしの位置関係で決まっており、どんな賃貸借契約もそれを変えません。
したがって、どの立地案に対しても最初の点検は、自社の配送キロのうち地区までの往復が何割で、地区内が何割かを問うことです。密集した工業集積へ配送する事業は地区内の距離が大半で、40キロ近づいても地図が示すほどは節約になりません。複数の県に薄く配送する事業は地区までの往復が大半で、同じ40キロが実際の金額になります。
拮抗したときの決め手は、まとめられない側に寄せること
入荷と出荷が距離の面で拮抗しているとき、決め手は距離ではありません。どちらの区間なら満載にできるか、です。
満載の車両はトンあたりで最も安い輸送です。トラックの費用の大きな固定部分が満載の荷に分散されるからです。多箇所配送は最も高い輸送です。一日が距離ではなく降ろす箇所の数で消費されるからです。
ここから非対称が生まれます。
- 入荷が満載で、出荷が小口多数なら、顧客側へ寄せます。入荷側は既にまとまっているので距離の増加によく耐えますが、出荷側は耐えません
- 入荷が安定したコンテナの流れで、出荷が少数の大口納品なら、港側へ寄せます。このときまとまっているのは出荷側です
二つ目の形は製造業では思われている以上によくあり、顧客基盤から遠い立地でも正解になりうる場合です。
一般化すると、まとめられない側の端に建物を置くということです。そちらの端では、増えたキロが燃料の増加ではなく車両日の増加に変わるからです。
タイでは着手する前から地図が狭まっている
一般的な手法は需要が国土に広がっていることを前提にします。ここではそうではありません。
2025年9月時点で、タイ工業団地公社は79の工業団地と1つの工業港を持ち、それらは 17県 に分布しています。うち15は公社の直営、59は共同運営で、5つはまだ開業していません。合わせて5,615の工場と1,083,180人の雇用を、203,714ライの上に抱えています。公社自身の地域評価では、成長余地が最も大きいのは東部で、中部は依然として国の製造と輸送の中心であり、北部と東北部はこれまでのところ関心が比較的薄いとされています。
顧客や仕入先が産業側にあるなら、彼らはそこにいます。ここから二つのことが出てきます。
全国地図上の重心計算は判断を誤らせます。 それは需要地点の加重中心に置こうとしますが、需要が少数の県と一つの大都市圏に固まっている国では、加重中心は高速道路も労働力も、貨物の逆方向の流れもない場所になりえます。
現実的な候補地の一覧は短くなります。 これは朗報です。抽象的に模型を作るのではなく、きちんと費用を積める、ということだからです。値付けする価値のある場所はおそらく五から十であって、五百ではありません。
重心計算はそれでも走らせる価値があります。ただし、あくまで候補を生み出す道具として使ってください。それはトン数で重みをつけますが、費用を動かすのは降ろす箇所と日数です。それは直線を測りますが、トラックは道路を走ります。出てきた点の周りに円を描き、その円の中にある実在の物件を一つずつ計算してください。
拠点をいくつ持つかは、実は在庫の問題
遅かれ早かれ、一つではなく二つの倉庫にしようという提案が出ます。たいていは納品時間の改善を理由にしてです。四つ目の費用が噛みつくのはここで、しかもそれは稟議書に誰も書かない項目です。
拠点数が増えると次のようになります。
| 費用 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 配送輸送 | 下がる | 各地区までの往復距離が短くなる |
| 入荷輸送 | わずかに上がる | 供給先が増え、一回あたりは小さくなる |
| 建物 | 上がる | 中規模二か所は大規模一か所より高い。二倍にはなりませんが |
| 在庫 | 上がる | 拠点ごとに自前の安全在庫が要る |
| システムと管理 | 上がる | 運用と突合の対象が増える |
驚かれるのは在庫の行で、これには目安があります。平方根法則 は、ネットワーク全体の安全在庫が拠点数の平方根に比例するとします。順方向に当てはめると次のとおりです。
| 拠点数 | 安全在庫、指数 |
|---|---|
| 1 | 100 |
| 2 | 141 |
| 3 | 173 |
| 4 | 200 |
倉庫を一つから二つに分けると安全在庫は約41パーセント増えます。増えないのでもなく、二倍になるのでもありません。同じ法則を逆に使えば、十拠点から五拠点への集約は安全在庫を約29パーセント減らします。
これを金利の隣に置いてみてください。在庫に寝ている資金の費用が7パーセント前後で、在庫が全国の物流費用のなかで既に二番目に大きい塊であるなら、安全在庫の41パーセント増は毎年恒常的に発生する費用です。二つ目の倉庫に価値が出るには、まず配送の節約でそれを取り戻さなければなりません。
これは二拠点が誤りだという話ではありません。二拠点の根拠は納品時間だけでなく在庫と戦わなければならない、という話であり、その計算こそ多くの提案が飛ばしている部分です。
立地が運賃に対して恒久的にすること
立地が決めることがもう一つあります。移ってしまうまで見えないもので、トラックが往復とも仕事を見つけられるかどうかです。
タイ国家研究評議会とタイ研究基金の助成で行われ2018年に報告された道路配送ネットワークの研究は、スワンナプーム空港のフリーゾーンに出入りするトラックを調べました。標本とした運行のうち94.95パーセントは一つのことしかしておらず、輸入のためか輸出のために来ており、両方ではありませんでした。貨物を積まずに走った距離を総走行距離と比べると、4輪車は46.26パーセント、6輪車は38.45パーセント、10輪車は23.27パーセントでした。
重要なのはこの傾向です。小型車がもっとも空で走ります。帰りを手配する手間を誰もかけないからです。大型車がより満載で走るのは、誰かが組み合わせを計画したからです。
貨物が双方向に健全に流れている地域の立地は、出入りするどの運送会社にも帰り荷の可能性を与えます。貨物が一方向にしか流れない立地はそれを与えず、その空車区間の費用は、その場所で提示されるすべての運賃のなかに入っています。それが明細の一行として現れることはありません。ある工業団地から出る路線と、見た目の同じ別の団地から出る路線の値段が違う理由が、それです。
署名の前に尋ねる価値があり、しかも簡単に尋ねられます。この地域には今どの運送会社が入っていて、ここから何を積んで出ているのか。帰り荷が見える運送会社は、見えない運送会社とは違う値付けをします。
決める前に候補地を試す方法
表計算で、自社の直近十二か月の受注実績を使い、絞り込んだ候補地ごとに行います。一日で終わり、賃貸借契約より長く役に立ちます。
- 予測ではなく実際の受注履歴を使う。 十二か月分の実配送明細。届け先、重量、容積、そして別々に数えた納品箇所の数
- 届け先を配送地区にまとめる。 配車担当がするやり方でまとめ、二つを別々に測ります。各候補地から各地区までの往復距離と、各地区内の距離。候補地によって変わるのは前者だけです
- キロではなく車両日に換算する。 各候補地から一日に何箇所回れるかを数えます。たいてい距離より先に納品箇所の数が一日を埋めることを忘れずに。距離の比較を費用の比較に変えるのがこの工程です
- 入荷側は別に値付けする。 トンキロではなく、月あたりの満載便数で
- 在庫を加える。 その候補地が拠点数を変えるなら、安全在庫に平方根法則を当て、差分を自社の実際の調達金利で費用化します
- 賃料は最後に加える。 桁の大きさから見て、そこが定位置です
- 来年の物量で全部やり直し、ありうる悪い年でもう一度やり直します。ある一つの物量でしか正しくない立地は、後悔する立地です
賃貸借契約に署名する前に固めること
- 配送距離を地区までの往復と地区内に分ける。 大半が地区内なら、建物を動かしても地図が示すほどは節約できません。お金は立地ではなく配車にあります
- まとめられないのはどちらの区間かを決め、そちら側へ寄せます。満載は距離を安く吸収し、多箇所配送の一日は吸収しません
- 候補地は車両日で値付けする。 キロは入力で、日数が費用です
- 複数拠点が議題なら、まず安全在庫を計算する。 一拠点から二拠点で約41パーセント増、それを毎年、自社の資金コストで背負います
- その地域に今なにが出入りしているかを聞く。 どちらの向きに流れているかも。双方向の貨物の流れがある立地は、契約期間を通じて安い運賃を買っていることになります
- 住所としてではなく作業現場として見る。 実際に使う車種が入れるか、転回する余地があるか、公道をふさがずにトラックが待てる場所があるか
- 輸送費用の試算を賃貸借の稟議書に入れる。 稟議書に載っている数字が平方メートルあたりの賃料だけなら、その稟議書はこの判断が決める四つの費用のうち最も小さいものについて書かれています
建物は目に見える部分であり、最も安い部分です。実際に選んでいるのは、これから何千回も走られる経路の集合と、毎日その時々の金利で資金を食う在庫の水準です。まずこの二つを計算してください。賃料の欄にたどり着くころには、正しい建物はたいてい明らかになっています。
