追跡画面は事実そのものに見えます。トラックがあり、道路があり、顧客の門がある。起きたことの記録として扱いたくなります。
しかし、それは正確ではありません。タイのトラックに付いている装置が記録するのは、ごく少数の項目です。どこにいたか、どれだけの速度で走ったか、何時だったか、エンジンがかかっていたか、そして読み取り機に誰の免許証カードが入っていたか。地図から読み取られるそれ以外のこと、たとえば「顧客に到着」「2時間待機」「空車で戻った」は、すべて誰かのルールでその少数の事実から導き出されたものです。ルールが変われば答えも変わります。
この記事は、その二つを切り分けます。追跡データを、争いを始めるものではなく終わらせるものにするためです。リアルタイムのデータで当日の運行を管理する方法は別のテーマで、計画が実際の道路とぶつかったときの当日管理で扱っています。
搭載義務のあるトラック、ないトラック
タイ陸運局は、次の車両に、認証を受け同局のGPSセンターに接続された走行データ記録装置の搭載を義務付けています。対象は多くの人が思うより狭い範囲です。
| 車両 | 義務 | 開始時期 |
|---|---|---|
| 危険物トラック、および危険物セミトレーラーを牽引する牽引車 | あり | 2014年1月1日までに全車設置 |
| 牽引車(トラクターヘッド) | あり | 2016年1月25日以降の新規登録車。既存車は2017年の更新車検まで |
| 3軸6輪10本タイヤ以上のトラック:荷台、バン、タンク、特殊用途の車体 | あり | 2016年1月25日以降の新規登録車。既存車は営業用免許で2018年、自家輸送免許で2019年の更新車検まで |
| 6輪車(2軸)と4輪ピックアップ。危険物を運ぶ場合を除く | なし | |
| トレーラーとセミトレーラー自体 | なし。装置は牽引車に付く |
このルールは、不定期路線の営業用免許のトラックにも、自家輸送免許のトラックにも同じように適用されます。つまり、メーカー自社の10輪車も、運送会社の車と同じく搭載が必要です。
荷主にとっての意味は三つあります。
- 都市部の末端が最も手薄です。 市内配送は6輪車やピックアップが担うことが多く、それらを追跡する義務はありません。運送会社が追跡しているなら、それは自社の判断で、自社のシステムで、自社の基準によるものです。確認が必要です。
- 停めたトレーラーは見えません。 装置は牽引車にあります。荷を積んだまま置き場に一晩置かれたセミトレーラーは、牽引車が離れた後は独自の記録を持ちません。
- 「義務」とは陸運局への接続のことです。 あなたが見られるという意味ではありません。これは後で扱います。
記録に実際に入っているもの
陸運局の2015年の仕様告示は、装置が記録・送信すべき内容を定めています。各レコードには次が含まれます。
- どの装置か:事業者の認証番号と装置自体の番号
- いつか:装置が測定した時刻と、別の欄にサービス事業者が受信した時刻
- どこか:緯度と経度、水平誤差20メートル以内
- 速度:1km/h単位、1分ごとの値
- エンジン状態、GPS測位状態、データ状態
- レコード連番
- 運転者:読み取り機でスワイプした免許証カードから得る免許の種類、番号、発行県
- 外部電源状態:装置が外されたかどうかを示す
データはリアルタイム、または少なくとも5分に1回送信し、細かさは1分ごとです。電波がない場合、装置は24時間以上の記録を保存し、後で送信します。サービス事業者はデータを最低6か月保存しなければなりません。
では、この一覧に何がないかを見てください。積載か空車かを示す項目はありません。扉が開いたか、温度、重量、何件目の配送か、誰かが受領署名したかを示す項目もありません。 これらを測るセンサーを追加する運送会社もありますが、それは追加装備で、陸運局の基準は何も定めていません。
測定値か、推定値か
追跡から報告されるものは、すべて次の二列のどちらかに入ります。
| 装置が測定するもの | 測定値から推定するもの |
|---|---|
| 位置(誤差20メートル以内) | 顧客に到着した |
| 速度(1分ごと) | 待機中か荷降ろし中か |
| 時刻 | その区間が積載か空車か |
| エンジンのオン・オフ | 休憩停車か作業停車か |
| どの免許証カードがスワイプされたか | 実際に誰が運転したか |
| 装置が外された | 合意したルートを走ったか |
右の列は、常に誰かが左の列に当てはめたルールの結果です。それ自体は欠陥ではありません。ただ、右の列の数字はその背後にあるルール次第であり、お金の計算に使う前にルールを合意しておく必要があるということです。
陸運局の全国トラックデータを使った研究者たちは、それにどれだけのルールが必要かを示しています。トラックが実際にどこで作業したかを見つけるために、彼らは次のことを行いました。
- 渋滞を除くため、20分未満の停車を無視した
- トラックは工業団地内で動き回るため、2km未満の間隔の停車をまとめた
- 残った停車を、停車時間と最寄り道路からの距離だけを使って、確率で休憩か積み降ろしかに分類した
- 立ち寄り地点の順序から積載か空車かを推定し、72%から90%の運行を既知のパターンに当てはめられた
これほど丁寧に処理しても、結果の幅は大きいままでした。品目によって平均の積み降ろし停車は約74分から151分、長いものは1,050分に達し、県別平均はラヨーン県の143.5分からナーン県の249.5分まで開きがありました。
あなたには研究者になかった強みがあります。自社の住所と自社の注文を知っていることです。だから、彼らの推測を自社拠点についての明確なルールに置き換えられます。次の二つの節がそのルールです。
引いた線が数字を決める
「顧客に到着」とは通常、トラックの位置が地図上で拠点の周りに描いた区域、つまりジオフェンスに入ったことを意味します。その線をどこに引くかは、どんな精度の問題よりも結果を大きく変えます。
1回の訪問を見てみましょう。
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 08:00 | 顧客の外の道路で待ち行列に並ぶ |
| 09:30 | 門を通過 |
| 09:45 | 荷受け場に着く |
| 11:05 | 荷受け場を出る |
| 11:15 | 門から出る |
トラックが並ぶ道路も含めて敷地全体を区域で囲むと、追跡上の滞在は3時間15分です。門だけを囲むと1時間45分になります。
無料待機時間が2時間なら、最初の線では1時間15分が請求対象の待機になり、二つ目の線ではゼロです。同じトラック、同じ朝、同じデータで、違うのは誰かが引いた線だけです。どれだけの待機が妥当か、待機料をどう設計すべきかは待機料とは何か、どこまでの待機が妥当かで扱っています。ここでの要点はもっと絞られています。最初の請求書の前に、拠点ごとの区域の位置を書面で合意することです。
地図上の点がずれる場所
陸運局の基準は水平誤差20メートルまでを認めています。トラックがどこに止まっているかも影響します。GPSを運用する米国政府は、一般的なスマートフォンは開けた空の下で約4.9メートルの精度だが、建物、橋、樹木の近くや屋内では精度が落ちるとしています。タイのルートでいえば、高速道路の高架下、屋根付きの荷受け場、背の高い工場棟の間で、まさにトラックが待つ場所です。
ここから実務上のルールが二つ出てきます。
40メートル未満しか離れていない二つの門は取り違えられることがあります。 誤差が20メートルあると、一方の門の前にいるトラックが隣の門の方向へ20メートルずれて記録され得ます。門の間隔が40メートル未満なら、その点は間違った門のほうに近くなることがあります。工業団地で同じ道路に面した工場は、よくこの程度の間隔で並んでいます。門ごとにピンを立てるのではなく、拠点ごとに敷地全体を囲む区域を一つ使ってください。
記録の間隔が時間の精度を決めます。 1分間隔の記録で測った停車時間は、実際より最大2分短く出ることがあります。区域内の最初の記録の前と最後の記録の後で、両端に最大1分ずつです。5分間隔の記録なら最大10分短くなり得ます。2時間の無料待機時間では問題になりませんが、30分の納品時間枠では大きな差です。ルール上、装置は記録を5分ごとにまとめて送ることができ、追跡画面は記録より少ない点しか表示しないことがあります。紛争のときは、スクリーンショットではなく1分ごとの記録を求めてください。
争いを終わらせる三つの項目
追跡データをめぐる争いの多くは、記録が完全かどうかに行き着きます。それに答える項目は基準にすでに含まれていますが、見る人はほとんどいません。
- レコード連番。 すべての記録に番号が付いています。番号に欠けがあれば記録が欠落しています。欠けがなければ、地図上でトラックが飛んだように見えても軌跡は完全です。
- 測定時刻と受信時刻。 電波の届かない場所は、トラックが消えて再び現れたように見えます。測定時刻が1分ごとに続いているのに受信時刻が後でまとめて届いているなら、装置が記録を保存していたということで、これは最大24時間まで義務付けられています。トラックは消えていません。
- 外部電源状態。 装置が外されたかどうかを記録するので、「追跡装置が動いていなかった」は確認できる事柄になります。
実際より強く見える項目が一つあります。運転者の項目は、どの免許証カードがスワイプされたかの記録であって、誰が運転したかではありません。 2人の運転手が1台を共用し、1人しかスワイプしなければ、運転時間はすべてその免許に計上されます。カードの記録としては確かですが、人の証明にはなりません。
自社の車でないとき、データをどう手に入れるか
運送会社に委託している場合、追跡に関するルールはあなたにデータを見る権利を与えていません。基準は記録を陸運局に送り、サービス事業者に保存させることを定めているだけで、運送会社の顧客については何も触れていません。見られるかどうかは契約に書いたこと次第です。 だから書き込んでください。
- あなたの業務でどの車両を追跡するか。 義務の対象外である6輪車とピックアップも含める
- どう見るか。 リアルタイムの共有リンク、または1分ごとの記録の日次ファイル
- 各拠点の区域。 描いて合意し、誰が変更できるかも決める
- 紛争の期限。 サービス事業者の保存義務は最低6か月です。追跡データに依拠する請求はその期間内に行うか、より長い保存を合意する
- 装置の交換。 設置証明書には装置、装置番号、車両のナンバーが記載されています。車両があなたの業務に入るときと装置が交換されたときに求める
- あなたの拠点で何をもって到着・荷降ろし・出発とするか。 画面任せにせず、データに対するルールとして書く
陸運局のGPSセンターは、認証済みの装置の型式一覧をウェブサイトで公開しています。運送会社の証明書にある型式が一覧に載っているかは、1分で確認できます。
今月やること
- 業務で使う車種を洗い出し、義務の対象かどうかに印を付ける。6輪車とピックアップが空白部分です。
- 上位20拠点それぞれに区域を描く。 待機料を請求するなら待ち行列の道路も含め、合意を取る。
- イベントのルールを書く。 区域に入ったら到着、出たら出発とし、門の前を通過しただけのトラックを数えないよう最短停車時間を決める。
- 各運送会社に、紛争日の1分ごとの記録をどう入手するか確認し、必要になる前に一度試す。
- 追跡データに基づく請求を受け入れる前にも退ける前にも、レコード連番と電源状態を確認する。
- 6か月の期限を予定表に入れる。 データが消えた後の追跡データに基づく請求は、単なる意見です。
- 運転手からの状況報告も残す。 追跡は、貨物が受領署名されたことも、なぜ1時間停車したかも教えてくれません。運転手なら教えられます。
覚えておきたい一文
追跡装置が測るのは位置、速度、時刻、そして差し込まれたカードです。それ以外はすべて、誰かがその事実に当てはめたルールです。だからデータをお金の計算に使う前に、ルールを合意しておくことです。
