ソフトウェアが入り、データが取り込まれ、最初の計画が出てくる。そしてその計画は間違っている。一度に1台しか入れない拠点に2台が向かう。転回できない路地に10輪車が割り当てられる。11時に昼休みで受入を止め13時まで再開しない工場に、11時30分の納品が組まれる。3週間もすれば配車担当はほとんどの便でシステムを手で上書きし、3か月もすればそのソフトウェアは誰もが責める置物になる。
このどれ一つとして、ほとんどソフトウェアのせいではない。計画システムは電卓である。トラックが行くすべての場所の台帳を読み、規則を当てはめ、計画を返す。台帳が間違っていれば計画も間違う。しかも自信たっぷりに、印刷され、時刻まで付いて出てくる。
その台帳がマスタデータである。誰もやりたがらない部分で、何週間もかかり、そしてソフトウェアを入れ替えた後も生き残る唯一の部分でもある。本稿では、そこに何を入れるべきか、そのうち三つの項目がなぜタイでは教科書が認める以上に厄介なのか、そしてすでに現場が生み出しているデータでそれをどう埋めるかを扱う。
計画が実際に読んでいるもの
配送計画には7種類の入力が要る。どれだけ動かすか、地点同士がどれだけ離れているか、顧客が何を受け入れ何を受け入れないか、車両に何ができるか、乗務員に法律上何ができるか、経路全体がどのような形をとりうるか、そして貨物そのものが何を課すかである。
この一覧が主に何でできているかに注意したい。毎日変わるのは最初の需要だけである。残る6つは、明日も昨日と同じである場所、車両、規則を記述している。この非対称こそがマスタデータを作る理由のすべてだ。明日の受注入力をやめることはできないが、サムットプラーカーンの拠点の門が幅3.8メートルで、15時30分に受入を止める、という事実を突き止める作業は一度で済むはずである。
だから使える持ち方は、納品先ごとに1件の台帳を、担当者を決めて持ち、受注データはその中に流し込むのではなく、その脇を流していくやり方になる。すべての配車担当、運送会社に渡すすべての作業指示、そして今後買うすべてのシステムが、同じ一つの台帳を読む。
その台帳の中で、間違ったときに最も大きな損害を出す項目が四つある。
どこにあるのか、それは住所とは別物である
一つ目の項目は位置であり、タイでは住所は位置ではない。
タイの住所は小さい単位から大きい単位へ並ぶ。家屋番号、地方部では村番号、路地、道路、区、郡、県、郵便番号の順である。問題は順序ではない。問題は、家屋番号が通りに沿って順に並んでいないことだ。特に私有地や住宅団地の内部では散在しており、一つ違いの番号が互いにまるで近くにないこともある。調べた研究者の結論は率直で、この番号の付き方は街路線とそもそも突き合わせられない。つまりジオコーディングが土台としてきた内挿の手法がここでは成立しない。代わりに頼れる全国の住所地点データベースもない。国の基礎地理データセットは行政界、道路、土地利用、標高を含む13レイヤーを公開しているが、建物にピンを立てられるものは一つもない。
その結果は数字に出ている。ナレースワン大学のチームがタイ語住所1,511件を5社のジオコーディングサービスにかけ、うち1,100件を比較対象とした。郵便番号を含む完全な住所を送った場合、Googleが建物単位で一致したのは3.73%、内挿による一致が61.45%であった。Bingは建物単位の一致率が最も高い17.82%だったが、68.45%はそもそも一致しなかった。MapQuestは98.55%が内挿による一致、Yahoo!は97.45%、OpenCageは88.18%であった。
危ないのは内挿による一致のほうである。それはエラーメッセージではない。地図上のピンであり、おおむね正しい区域にあり、どの計画システムに食わせても黙って受け入れられる。
この研究の二つの発見は、そのまま実務に落とせる。
一つは、郵便番号を外すと一致率は上がり精度は下がるということだ。郵便番号を外すと建物単位の一致はMapQuest 21.64%、Bing 17.91%、Google 17.27%へ上がったが、5社すべてで位置精度は悪化した。サービスはより広い区域に後退したうえで、成功と報告する。一括でジオコーディングし、一致した行数で出来を判断していると、測定上より悪い設定のほうを選ぶことになる。
もう一つは文字列の書き方である。タイ語の住所は通常、要素ラベル、つまり村番号、区、郡、県を表す語を値の前に置いて書かれる。研究者がそのラベルを付けたまま住所を送ると、MapQuestとYahoo!は米国と日本の位置を返した。同じ住所からラベルを外し値だけにすると、ピサヌローク県内に正しく測位された。自社のERPはほぼ確実に、住所をラベル込みの1行の自由記述として保持している。請求書にそう印字するからである。
これはジオコーディングをやめる理由ではない。返ってきたピンを下書きとして扱い、検証済みの座標をマスタデータとして扱う理由である。
やるべきこと。
- 緯度と経度を独立した項目として持つ。 郵便の住所とは分ける。住所は請求書と書類のため、座標は計画のためである。
- 机の上ではなく門で取る。 欲しいのは車両が止まる地点、つまりトラックが使う入口であって、建物の重心でも事務所の正面玄関でもない。門に立った乗務員が携帯電話で取る座標のほうが、どのサービスより良い。
- 一括でジオコーディングするときは、タイ語のラベルを外して値だけを送る。 郵便番号は残し、建物単位で返ってこなかったものはすべて未検証として扱う。
- 座標なしで納品先を新規作成できないようにする。 台帳が腐るのを止める唯一の統制であり、作成の時点で強制するしかない。後から遡って直す人はいないからだ。
何が入れるのか
二つ目の項目は進入条件で、混同されがちな二つの半分からなる。拠点そのものが受け入れられるものと、そこへ至る道路が受け入れられるものである。
拠点の側は文書化されていない。工場の門の幅、構内の回転半径、荷卸場の庇の高さ、プラットホームがあるのか乗務員がテールリフトで降ろすのか、フォークリフトと有資格の運転者がいるのか、構内に同時に何台入れるのか。これらを公表する者はいない。調べに行ける官庁もない。自社が持っていなければ、誰も持っていない。
道路の側は公告されているが、一か所にはまとまっていない。道路法第61条により、その道路の道路管理者は、車両重量、積載重量または軸重が定めを超える車両、あるいは道路を損傷させるおそれのある車両の通行を禁ずる公告を官報に出せる。その公告をどの部署が承認するかは道路の種別で決まる。高速道路、国道、特許道路は道路局長官、地方道路は地方道路局長官、市町村道路は県知事である。
配車担当の席から読み直してほしい。国道では余裕で合法な車両が、そこから分岐する県道では超過し、末端の市町村道路ではまた別の限度に触れる。しかもその三つの限度は三つの異なる部署が定めている。全国の軸重表は、自社の車両が何トンまで許されるかを教える。この道が何を受け入れるかは教えない。
同じ条の第2項が、人を捕まえるほうである。緊急事態や事故で道路が損傷し、または通行が危険になった場合、その道路を管理する職員は同じ禁止を即座に課すことができる。方法はその場所への公然の掲示で、期間を定めて行う。この制限は現実に効力を持ち、執行もされるが、掲示された当日は路傍の標識以外のどこにも存在しない。それが計画台帳に届く唯一の経路は、それを見た乗務員が誰かに伝え、その誰かが書き留めることである。
拠点ごとに記録すべきもの。
- 実際にここへ納品できた最大の車両と、その日付。顧客が受けられると言っている車格ではない。拠点は10輪車が入ると平気で言う。一度だけ、夜間に、20分かけて後退した実績があるからだ。
- 効いている制約と、その数値。 門の幅が何メートルか、高さ制限が何メートルか、あるいは曲がれないのはどの角か。「小型車のみ」と書かれた台帳は、配車担当が代替を当てはめる材料を何も与えない。
- 荷卸の方法と、誰がやるか。 プラットホーム、テールリフト、フォークリフト、あるいは人力。これは費用であり、時間であり、しばしば揉める点である。
- 最終区間の経路制限。 拠点ではなく経路に紐づけて持ち、日付を入れる。変わるからである。
いつ本当に受け入れるのか
三つ目の項目は時間で、罠は「営業時間」が三つの別物を指すことにある。
拠点が開いている時間がある。車両を入れてくれる時間があり、たいていそれより狭い。そして自社の貨物が実際に着くと期待されている時間帯があり、さらに狭いことがある。しかもそれを決めたのは、門衛と一度も話したことのない購買部門の誰かであることが多い。
配送計画の標準的な制約一覧は、たいていの会社のデータが支えられる範囲より長い。指定の納品時刻、二つの時刻に挟まれた納品時間帯、早じまいの日、昼休み、車両サイズによる進入制限、フォークリフトがない場合の荷卸制限、一度に何枚までしか受けられないという数量上限、路上に停められない駐車の問題、乗務員が検品と署名を待たされる書類上の規則である。
そのどれもが拠点の属性である。そしてそのほとんどは、名称、住所、支払条件、電話番号しか持たない一般的な顧客マスタには入っていない。
タイに特有の二点は、それぞれ独立した項目に値する。
昼休みは多くの拠点で硬い停止である。 電話一本で押し通せる緩い制限ではない。署名する人がいないからだ。ある拠点が12時から13時まで受入を止めるなら、その1時間は計画の中の壁であり、それを知らない配車担当は正面から突っ込んで車両の1時間を失う。
受入時間帯と門の待ち行列は別物である。 8時から16時まで受け入れるが、門は一つで1台ずつしか通さず、8時には15台が並んでいる拠点は、8時間の時間帯ではない。台帳に欲しいのは、時間帯に加えて、実績上どの到着時刻が最も早く解放されるかであり、それは尋ねるまでもなく測れる。
1回の停車にどれだけかかるか
四つ目の項目は、ほとんどの現場がそもそも持っていないもので、1日に何件回れるかを決めるものである。
停車は一つの数字ではない。どれだけ少なく届けても発生する固定部分と、納品規模に比例する変動部分の和である。固定部分は門、待ち行列、書類、据え付けの切り返し、人を探して歩く時間だ。変動部分が実際の荷役である。
教科書のモデルは拠点を進入の難易度で分け、それぞれに数字の組を与える。例示された版では、容易な拠点が固定10分と1ケースあたり0.025分、中程度が20分と0.050分、難しい拠点が25分と0.075分である。この具体的な数値は英国のケース荷役の例であってタイのパレット作業ではないが、要点は形にあり、その形に自社の数字を当てはめればよい。
観測が二点あれば当てはめられる。ある顧客での自社の時刻記録が、およそ6パレットの納品で平均34分、およそ18パレットの納品で平均70分だったとする。変動率は差を差で割る。70引く34を18引く6で割ると、36分を12パレットで割って1パレットあたり3分である。固定部分はどちらかの観測から変動分を引いた残りで、34引く6かける3、すなわち16分となる。もう一方で検算すると、18かける3に16を足して70になる。
よってこの拠点の台帳は、固定16分、1パレットあたり3分と書かれる。ここでの12パレットの納品は52分かかるはずである。
次に、同じ12パレットを届ける二軒目の顧客を見る。ただし門に待ち行列があり、プラットホームがなく、テールリフトを使う。実測では固定45分、1パレットあたり5分だった。この停車は105分かかる。同じ貨物、同じ数量、車両時間は2倍で、その差はすべて場所の属性である。
これを1日に置いてみる。走行と休憩を除いて停車に使える時間が6時間残るとすれば、一つ目の型の拠点なら6件から7件入り、二つ目なら3件しか入らない。全顧客に一つの平均停車時間を当てている配車担当は、台帳の一方の端では実行不可能な便を組み、もう一方の端では緩すぎる便を組み、その両方で責められることになる。
そのデータはすでに手元で生まれている
マスタデータの取り組みが止まるのは、それがデータ収集の仕事に見えるからである。多くの場合それは違う。必要なものの大半はすでに記録されていて、誰も読んでいないだけだ。
車両運行記録装置。 陸運局の公告が対象とする車両には、位置、速度、時刻を記録し、少なくとも5分ごとに送信し、6か月間保存する装置が付いている。それは、ある座標で静止していた時間帯が、1日に何度も、対象車両のすべてについて残っているということだ。自社車両でも運送会社の車両でも同じである。つまり自社の顧客先での到着時刻と解放時刻が、実測で半年分ある。この義務は車両区分ごとに書かれておりすべての貨物車には及ばないので、履歴があると決めてかかる前に、自社の仕事に就いている車両にどれが適用されるかを確認したい。この同じ半年分の記録は、自社の便が本当に繰り返しているかを検証する材料でもあり、それが固定路線か日々の配車かを選ぶときの本当の問いである。
自社の納品証憑の時刻。 乗務員が署名時刻だけでなく到着時刻も記録しているなら、1停車あたり二つの時刻から停車時間が出る。納品書と突き合わせれば数量が出て、その対の散らばりから、十分な頻度で訪れるすべての拠点について上の固定値と変動値が求まる。
自社の門。 同じ算術は入荷車両にも当てはまる。自社の荷受場での到着から解放までの分布こそ、無償待機時間を決める根拠にすべきものであって、運送会社の標準約款に書かれた数字ではない。それが待機時間の料金の考え方の論旨である。
乗務員。 進入条件について文書化されていないことは、すべて彼らの頭の中にしかない。拠点ごとに一度だけ記入する1枚の用紙で、どの門を使うか、入れる最大の車両は何か、何がうまくいかないか、それが何時に起きるかを書いてもらうほうが、どんな調査票よりも2週間で先へ進む。
これで得られるのは、良い計画だけではない。自社の仕事に見積もる運送会社は、こちらが説明できる範囲でだけ値付けし、説明できない空白は最悪の想定で値付けする。運送会社が当然受け取ってよい入札資料には、拠点別の納品数量、納品時間の制約、特定拠点で起きている問題が含まれる。それに答えられる台帳があるかどうかが、自社の実務に基づく運賃と、推測に基づく運賃との差になる。これは運送会社が見積もる前に必要とするもので扱った論点である。
どの順番でやるか
1件目から順に下りていってはいけない。台帳は長く、価値は偏っている。
- 納品先を、消費する車両時間の順に並べる。 売上順でも五十音順でもない。停車回数かける平均所要時間である。上位50件が、計画が実際に壊れている場所だ。
- まず位置を直す。 下流のすべてがそれを読むからである。門で取り検証した座標を、まず上位50件、次の50件と進める。
- 次に時間帯。 顧客マスタの記載ではなく、拠点が実際にやっていることから取る。
- 次に進入条件。 乗務員から、そして実際に納品できた最大の車両から取る。
- 次に停車時間。 自社の時刻記録から当てはめ、平均に意味が出るだけの頻度で訪れる拠点にだけ行う。年に2回の拠点は推定値を入れて印を付けておく。
- 最後に、輪を閉じる規則を決める。 座標なしに納品先を作らせない。そして、制限に出会った乗務員はその日のうちに報告する、という常設の指示を置く。マスタデータはゆっくり劣化するのではない。誰かが急いで1件作った、その瞬間に劣化する。
正直なところ、いくらの価値があるか
見返りの大きさについては率直に言っておきたい。マスタデータはたいていソフトウェアと抱き合わせで売られ、ソフトウェアはたいてい削減率と一緒に売られるからである。
2023年に研究されたある運送会社は、記録ではなく従業員の経験で仕事を組んでいた。研究チームが車両、乗務員、顧客のデータベースの上に計画業務を作り直したところ、情報を一つ探す時間は1件あたり1.05分から0.13分へ、1件の費用を計算する時間は2.10分から0.30分へ下がった。単位は分であり、小規模な現場での話であり、それだけでは何の元も取れない。
それが事務作業の削減の正直な規模であって、これをやる理由ではない。理由は、その台帳が存在しない限り、その上のすべての判断が誰かの記憶の上で下されているということにある。二つの経路案を比べることも、納品頻度を試すことも、運送会社に正確に説明することも、納品時間帯について誰かに責任を負わせることもできない。比べる相手がないからである。悪い台帳の上に載った良いシステムから出てくる計画は、配車担当の勘より優れてはいない。それは時刻の付いた配車担当の勘であり、しかもはるかに反論しにくい。
まず台帳を作る。ソフトウェアはそのあとである。
