VWTVWT
← 記事一覧

輸送の単位あたり原価は本当はいくらか

公開日 2026年8月19日 · 約1分で読めます

輸送レポートは毎月第一月曜に届きます。一行だけ動いています。配送パレットあたり原価2,850バーツ、前月は2,400バーツ。

誰かが説明を求められます。返ってくる説明はたいてい運送会社の話か、軽油の話か、3月にやるはずだった運賃見直しの話です。

たいていはそのどれでもありません。その数字は分数であり、動いたのは下半分です。

ここでは、どの分数を使うべきか、よく使われる単位がそれぞれ何を隠しているか、そしてどんな単位原価にも意味を持たせる前に必ず踏むべき二つの計算について述べます。

タイで最も引用される物流の数字は、間違った理由で改善した

まず全国の数字から始めます。誰も反論できない規模で論点を示せるからです。

タイの2024年の物流費は2兆5,094億バーツ、GDPの13.5%で、前年の14.2%から低下しました。こう書くと、国全体がモノを動かすのが上手くなったように読めます。

では二つの半分を分けて見ます。物流費の総額は2兆5,420億バーツから1.3%減少しました。うち道路貨物輸送費は6,474億バーツから6,168億バーツへ減っています。そして名目GDPは3.5%増加しました。

つまり比率は両方向から同時に改善し、そのどちらも効率ではありません。分子を縮めたものが何かを、NESDCは明記しています。農業は1.0%縮小、製造業は0.5%減、民間投資は1.6%減で新車登録台数は18.6%減、稼働率は60.2から59.0へ低下しました。

作る量が減ったから運ぶ量が減り、運賃の請求額が小さくなった。それは物流の改善ではありません。より大きくなったカネの経済の中に、より小さくなったモノの経済が入っているだけです。

国内で最も丁寧に設計された物流比率がこう動くのなら、月次資料の中のあなたの数字も当然そう動きます。

分数の上半分は、ほとんど「一日」でできている

分母を選ぶ前に、分子が何でできているかを知っておくと役立ちます。二つは関係しているからです。

道路貨物輸送の原価は、トラックがどれだけ走るかに関係のない項目が支配しています。車両、運転者、保険、免許、金利は、荷台が満載でも空でも動き続けます。距離が足すのは燃料とタイヤだけです。だからこそ運賃見積りは実際には車両一台と一日の値段であって、貨物の値段ではありません。

測定の面では、これによる帰結が一つ、他のどれよりも重要になります。原価の大半が固定費であるとき、活動量の低下はそれ自体で単位原価を押し上げます。 同じ体制で20%少なく運べば、単位あたりの数字はすべて悪化します。誰一人として、何ひとつ違うことをしていなくてもです。

これはトラックが自社の資産にあっても、運送会社からの請求書の上にあっても同じです。押さえておいて半分しか積まなかった車両は、買っておいて半分しか使わなかった車両日です。

五つの単位と、それぞれが隠すもの

単位原価はすべて、総原価を何かで割ったものです。その「何か」を選ぶことは、何が原価を動かしているかについての主張であり、人気のある選択の多くは成り立たない主張です。

単位 業績以外に連動するもの
1キロメートルあたり原価 距離。長く走るほど良く見える。空車走行が分母に入っている
1トンあたり原価 貨物の密度と品目構成。軽い製品に寄れば上がる
1ケースあたり原価 荷姿。ケース設計を変えるだけで動く。輸送側は何も変わっていない
1配送先あたり原価 注文量。客が小口化しても動かないまま、単位原価だけが上がる
売上に対する比率 販売価格。値上げすれば良く見え、値引き施策で崩れる

1キロメートルあたり原価は最もよく引用され、最も厄介です。減らしたいものを褒美にしてしまうからです。長く走れば下がります。二便を一便にまとめれば、固定費がより少ないキロ数に配分されるので上がります。まさに正しいことをした月にです。

もう一つ問題があります。分母の中身です。スワンナプーム空港フリーゾーンに就役するトラックを調べたタイの研究では、走行距離の約41.6%が貨物を積まない走行であり、その比率は車種に大きく左右されることが分かりました。

車種 空車走行が占める距離の割合
四輪車 46.26%
六輪車 38.45%
十輪車 23.27%

5キロのうち約2キロが何も積んでいないのなら、「走行キロあたり原価」と「実車キロあたり原価」は意味の違う別々の数字であり、あなたの貨物に関係するのは後者だけです。両方を追ってください。その差こそ改善の余地があるところです。

1トンあたり原価は、貨物が重量制限に達する前に荷台を埋めてしまう場合に壊れます。製造品や包装品の大半がそうです。より軽い品目構成に変われば1トンあたり原価は上がりますが、それはあなたの1トンがより多くの荷台を占めるという製品側の事実であって、輸送業務の話ではありません。逆向きの罠のほうが厄介です。重い構成になれば、何も改善していないのに数字だけが良く見えます。重量建てで値付けしているものは、運送会社が見積り時に実際に計算していることと突き合わせておく価値があります。

1ケースあたり原価は荷姿が動くたびに動きます。ケースを小さくしてパレットに多く積めるようにすれば下がり、これは本物です。大きくすれば上がり、これも本物ですが輸送とは無関係で、問い詰められるのは輸送管理者です。

1配送先あたり原価はずっと正直です。一日を埋めるのは配送先の数だからです。死角は一件あたりの量です。客の発注回数が同じで一回あたりの引き取り量が減れば、1配送先あたり原価は微動だにせず、出荷単位あたり原価だけが上がっていきます。

売上に対する比率は取締役会が好み、最も測っていない数字です。輸送の数字を商売の数字で割ったものだからです。5%値上げすれば、輸送は5%効率的になったように見えます。

どれも無用ではありません。それぞれが特定の問いです。誤りは使うことではなく、一つだけ選んで「わが社の輸送原価」と呼び、その動きを輸送チームへの判決として読むことです。

勝手に動かない分母

行儀の良いものが一つあります。車両日です。

行儀が良いのは、それが実在し、数えられ、法律で上限が定まった資源だからです。タイの法律は一日の長さに上限を置いています。労働者保護法に基づく省令第12号により、陸上運送業務の所定労働時間は1日8時間以内と定められ、時間外労働は書面による同意のうえ1日2時間以内に制限され、例外は三つだけです。さらに運転業務に従事する労働者は、前の労働日の終業から10時間を経過するまで翌日の業務を開始できません。

したがって一日の上限は10時間であり、その10時間の間隔が明日の始業時刻を決めます。だからこそ自社の荷積み場での待機時間は、有限な一日に対する賃料であって、迷惑料ではありません。

実務に落とすなら、一つの数字を報告するのをやめて、二つを報告することです。

  • 車両日あたり原価。資源そのものの値段。賃金、軽油、整備、保険、そして合意した運賃で動きます
  • 車両日あたりの仕事量。配送先、パレット、ケース、トンなど、自社が回している単位で。計画、経路、荷役の速さ、注文量で動きます

前者に後者の逆数を掛ければ単位原価になります。二つを分けて報告すれば、単位原価が動いたときには説明がすでに付いています。どちらの半分が動かしたかが見えるからです。

数量で組み替えてから、節約と呼ぶ

冒頭の月を埋めると、こうなります。

3月 6月 増減
配送パレット数 1,000 800 −20%
配送先数 400 380 −5%
使用車両日 200 190 −5%
総原価(バーツ) 2,400,000 2,280,000 −5%
パレットあたり原価 2,400 2,850 +18.8%
配送先あたり原価 6,000 6,000 0%
車両日あたり原価 12,000 12,000 0%

パレットあたり原価は5分の1近く上がりました。配送先あたり原価と車両日あたり原価はまったく動いていません。業務では何も変わっていません。客は同じ回数だけ注文し、一回あたりの引き取り量が減ったので、配送先あたりのパレット数が2.5から2.1に下がっただけです。

直し方は一行の計算です。実際に起きた数量に計画を組み替えてから比べる。 3月の配送先あたり原価なら、380件は 380 × 6,000 = 2,280,000 バーツになるはずです。実績も 2,280,000 バーツ。差異はゼロです。

この一行が、その後に起きることを変えます。これがなければ、輸送部門は存在しないパレットあたり450バーツを探しに行かされます。あれば、分かるのは平均注文量が下がったということであり、それは最低発注量と配送頻度を決める人への問いです。どれほど経路を工夫しても、そこには届きません。

逆方向に振れた月にも同じ計算が効きます。仮に6月が同じ380件で 2,470,000 バーツだったとします。組み替え後の基準は 2,280,000 バーツのままなので、190,000 バーツが本物の差異です。そしてそれは二つに割れます。車両日あたり原価が12,000から13,000へ動いた分は価格変動、配送先あたり車両日が0.5のままなのは業績が維持されたということ。これで、運賃と原価の話であって計画の話ではないと分かります。

数字二つ、引き算二回。その月は議論されるのではなく、診断されます。

市場分を差し引いてから、運賃で勝ったと言う

価格の変化は、他の人がいくら払ったかに対してしか良し悪しが決まりません。タイはその基準を公表しており、使っている荷主はごくわずかです。

タイ商務省の貿易政策戦略局は、道路貨物輸送サービス料金指数を四半期ごとに作成しています。2026年第2四半期は124.1で、2025年の同じ四半期から11.1%の上昇でした。同局は主因を、世界のエネルギー情勢に伴う軽油価格の上昇とし、季節的な農産物輸送需要、整備費・部品費・管理費の上昇、熟練トラック運転者の不足による賃金上昇を挙げています。

これに照らせば、上の例で車両日あたり原価が8.3%上がったことは負けではありません。成果です。

使う前に三つ注意があります。この記事の他の部分と同じ注意です。

比較する窓を意識して選ぶ。 同じ指数の同じ四半期が、前年同期比で11.1%上昇、前期比で10.4%上昇、上半期どうしの比較で5.7%上昇です。どれも真であり、指数は一つ、話は三通りです。自分の数字が対象とする期間に合う窓を、見る前に選んでください。

見出しの数字ではなく、自分の貨物に合う内訳を使う。 生産活動別では、農林水産品の輸送が15.5%上昇した一方、鉱産品は4.3%でした。車種別の開きはさらに大きく、危険物運搬車が13.2%上昇、バン型トラックが12.5%上昇である一方、長尺物セミトレーラーは4.8%上昇でした。

見出しの数字自体が加重平均であることを忘れない。 生産活動別の構成では工業品がウエイトの84.94%を占めるため、全体の数字はほぼ工業品の数字です。農産物を運んでいるなら、見出しの数字はあなたの市場ではありません。

席が違えば、必要な単位も違う

最後の誤りは、一つの数字を全員に配ることです。

取締役会が欲しいのは総額のバーツと売上比率です。輸送が注意を割くに値する大きさの問題かどうかを判断しているからです。輸送管理者は売上比率には手の出しようがなく、しかも筋の通らないやり方で動かそうとする誘惑にさらされます。

現実的な切り分けは次のとおりです。

  • 取締役会・社長:輸送費の総額(バーツ)、売上に対する比率、自社が売る製品の単位あたり輸送費。四半期ごとに、常に数量と並べて確認
  • サプライチェーンまたは物流の管理者:車両日あたり原価、車両日あたり配送先数、実車距離の割合、配送先あたり原価。月次で、数量で組み替えたうえで確認
  • 日々の計画を回す人:積載率と積載能力の対比、使用時間と10時間の上限の対比、拠点別の待機時間。週次で、しかもバーツでなくてよい

その下にある原則は、指標はそれを変えられる人にだけ届くべきだ、ということです。それ以外は会議を生むだけの報告です。

月曜から変えること

  1. 先月の輸送費を分数として書き出す。 分子、分母、そしてその分母が他に何と一緒に動いたか
  2. 今の報告の隣に車両日あたり原価を足す。 車両日を数えていないなら、請求書上の手配日数から始めれば十分です
  3. 比べる前に組み替える。 前期の配送先あたり原価に今期の配送先数を掛ける。その内側はすべて数量であって業績ではありません
  4. 残りを価格と業績に分ける。 車両日あたり原価が価格、配送先あたり車両日が業績です
  5. 価格の側を公表指数と突き合わせる。 自分の品目または車種の内訳を使い、自分の期間に合う窓で
  6. 実車キロと走行キロを分けて追い、合計ではなく差を見る
  7. 各階層には、その人が手を出せる単位を一つだけ渡し、他は回覧をやめる

目的はより良い数字ではありません。単位原価が動いたときに、理由を誰も推測しなくて済むことです。